1500年前の続縄文時代に描かれたと言われているらしく(時代区分が本州と北海道で違うのがとても興味深い。)、昭和25年に中学生の大塚少年が海水浴のついでに見つけたらしい。大塚くん、グッジョブ。
実は、10年前に一度トライしたことがあるんです。2月くらいかな、雪深い時に。
周辺の景色は真っ白で、ズボンの下にレギンス履いて、長靴に4枚くらい重ね着した上にダウンジャケット。布団のような格好で小樽からバスで行ったんだけど、バスの中の乗客も徐々に減って行き、すごい吹雪でバスの外の景色も見えなくなり、私は一体これからどんな異世界に行くのだろうと心底不安になった。
バスを降りると人もいなければ看板もなく、しばらく歩いた。
するとフゴッペ洞窟こちら、と矢印の標識が。しかしその方向に歩けど歩けど何もなく、
ただ、白い景色が続く。
道の途中に止まっていた大きなトラックの高い座席でお弁当を食べてるおじさんに
手を振って、叫ぶ。
「フゴッペ洞窟は、どこですかー!!!」
「こっちじゃないよー!!!」(吹雪のため、声を張り上げる)
車の標識を見間違えていました。
車には数十メートル手前に看板があるでしょう、あれ。
そこを徒歩で曲がっていました。えんえんと道を戻り、がんばってフゴッペ洞窟の博物館らしき建物の目の前に辿り着く。すでに顔はかじかみ。頭の中までまっしろ。
・・・休館中。
こんな時にネガティブな気分になるとヒトは凍死するのかもしれない。
と気を取り直し歩き始めると、道路を渡った海沿いに温泉がみえた。
神さまはいたもんだと近付くと、・・・休館。
バス停に向かってすごすご歩き出すと、ドライブインがあるではないか。
忘れもしないドライブイン。入るとインベーターゲーム卓がテーブルになっている。
窓の外には日本海の灰色の海の波。音楽は忘れもしない「サバ(シバ)の女王」。
https://www.youtube.com/watch?v=uoJ-aZeygiU
・・・思えばここに来るバスの中で、どんどん景色が白く消え、周辺から生きている人も消えていった頃から、私の頭にはずっとサバの女王が流れていた気がする。
打ちつける灰色の波と、サバの女王。
きっと寒すぎて、思考が停止していたのだろう。ドライブインで刺身定食を注文してしまう。
身体は末端まで冷えきっているのに・・・。
周りの地元の人たちは、海老フライ定食とか、ハンバーグとか、温かいものを食べている。
しかし後悔はない。あの刺身定食の帆立の甘さは今でも忘れられない。
長くなってしまった。
それだけ思い入れのある刺身定食、じゃなかった、フゴッペ洞窟にやっと行くことが出来た。
館内に入ると、宇宙的な音楽が流れ、受付のお兄さんが丁寧に対応をしてくれる。
レプリカの洞窟や、展示品のあいだを抜けるといよいよ洞窟の入り口へ。
ガラスケースに囲まれているが、保存のこともあって完全に暗闇である。
神秘的な雰囲気があり過ぎて、他にお客さんもいなくて中に入れず、もぞもぞと数十分、
入り口の前で行ったり来たりして過ごす。もぞもぞ、もぞもぞ・・・
意を決して受付に戻り、親切なお兄さんになんだかんだ理由つけて(中にあるボタンはライトがつくんですか?など変な質問を重ねた。)一緒について来てもらう。
怖くて入れない、とは口が裂けても言えなかったんだもの。
ドライブインの裏の岬。今回はドライブインには入らなかった。
小樽の総合博物館運河館にて。洞窟の他にもこの辺りは環状列石とか遺跡が多い。
洞窟の中は撮影不可なので、スタンプとレプリカのマグネット。
翼の生えた人とか、踊る人とか、ヒトってこうあるべきだよなあ・・・みたいな
いきいきした像が洞窟内部に描かれていて、ひたすら感動。
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