2018年12月4日火曜日

大野一雄「日常の糧」@若山美術館


 
学生時代、この人の皮膚の表面を撮った写真を美術館で見た。
その数年後、水戸芸の展示室に入ったら、人だかりの奥に白くて高い、男だか女だかもよくわからない生き物がゆっくりと蠢いていた。何だかよくわからないそれを、当時の私が夢中になって見た記憶を昨日のように覚えている。その後、何度もその人に遭う(みる)ために、劇場へ足を運ぶことになった。

大野さんと親しくなったのは、亡くなってからのことなんですよ、と語っていた若山美術館の館長、武田さんの言葉がしっくり入ってくる。

会場には、大野さんの言葉の断片やアルバムの写真、用務員時代の体験が元になった日常の糧の映像やパイプオルガンの音などが並んでいる。体育教師として女子校に赴任、女の子に何を教えたらいいかとダンスを始めた話、世界的アーティストでありながら退職後も用務員さんとして勤務し、毎年サンタになった大野さん。きっと毎日通う学校が楽しみになるでしょう。受け継がれたぬいぐるみも衣装も、エピソードの欠片の一つ一つがとてもやさしい。

学生時代の私をどこまでも引きつけた大野一雄さんの魅力は、優しさと繊細さが積み重なってできたものだったということが、今になってやっとわかったような、ここでしか見られない展覧会でした。

大野一雄「日常の糧」は128日、今週の土曜日まで。



2018年11月21日水曜日

高橋家にまつわる物語 2018 秋


2013年から尾道でメインで関わって来たプロジェクト、「高橋家にまつわる物語」の舞台となる高橋家。30年以上空き家だったこの家が持つ空気感、美しさに魅せられ、毎年、和作忌の11月4日に合わせて公開して来ました。
しかし、豪雨や台風などの度重なる自然災害による被害で損壊した部分も多く、私が東京にいる間もAir_Onomichiメンバーを始め、尾道大の学生さんがチェックや修復をしてくれていましたが、安全を考え、今年の公開を見送りました。

正面の大きな窓に映る雲やその時々の景色は、天気だけではない尾道の風景を映し出し、家の中は戦後の家族の美しい時間が今も流れているようでした。本棚や戸棚には、物語が沢山詰まっていました。
少しずつ応急処置を施しながら、来年以降もこの高橋家の持つ時間と空気を大切に、どのように残していくか、空間と対話しながら知恵を絞っています。

高橋家にまつわる物語は、これからも続いていきます。
今までのように静かに、淡々と。





























               






2018年11月15日木曜日

星劇団再演プロジェクトの第3回目

星劇団再演プロジェクトの第3回目のお知らせです。

1回目はアーティストの外部の視点から、2回目は尾道の民俗学の専門家の立場からのお話と徐々に深部へ降り下げてきましたが、3回目は吉和出身で元尾道市人権文化センター職員の砂田さんと、吉和地区で現在、民生委員と町内会長をしている山根さんのお二人のお話を伺います。
星劇団のプロジェクトを始めて既に5年が経過しましたが、このお二人にお会いしてからは、吉和地区の内側の方からお話を聞く機会を多くいただきました。今回も、とても濃いお話が伺える会になるはずです。
消えていく小さな声の歴史を、現場の方々、専門家やアートの力を借りて、とにかくしつこくしつこく追いかける。最近いくつかの寂しい話がありましたが、自分に出来ることを考えて、丁寧に続けるのみとつくづく思います。

星劇団のヤエ子さんからも「ほら、ナホちゃん行くわよ!」って気合い入れられてる気がします。

はーい、ヤエ子さん、見守っててね。

11月20日(火)光明寺会館にて19:00より



2018年10月20日土曜日

星劇団再演プロジェクト、第二回目

毎日毎日、秋の日は過ぎるのがびっくりするくらい早いです。
先週、北海道にリサーチに行ってたら、星劇団再演プロジェクトの第2回目があっという間に来てしまいました。たびたび落語行ってる場合じゃないわよねぇ・・・昨日の一之輔さん@国立演芸場、ほんとによかった。
さて、再び22日より尾道入りです。

先月の第一回目に続き、2013年から静かに進めている「星劇団再演プロジェクト」の第2回目が、来週24日に行われます。今回は、尾道市史編纂室の林良司さん、肥田伊織さんのお二人が、民俗学の視点で尾道の吉和地区について掘り下げていきます。私も何度か一緒にフィールドワークをしたのですが、アートとはある部分で重なったり、また異なったりする視点が理解を深めてくれます。
また今回のお二人は歴史の専門家でありながら、ある時はその知識を星劇団プロジェクトの一員として、また「山陽日日新聞エイプリルフール特別号」などでもさらりと披露してくれる、最強びっくりメンバーです。
10月24日(水)19時から、光明寺会館にて、お待ちしております。

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尾道市の漁師町、吉和地区で終戦直後の物資が不足する時代、十代から二十歳の女性たちが中心となり活動した星劇団は大人気でした。当時を知る方々の証言を元に、いろんなことを考え、話す場に出来ればと思います。興味を持たれた方、是非いらしてください。






2018年9月23日日曜日

星劇団再演プロジェクト/レクチャー第一回目


久しぶりの書き込みです。
尾道は大雨になったり、からりと晴れたり、私も大忙しですが、天気まで大忙し。

さて、2013年から静かに進めている「星劇団再演プロジェクト」、今年は何度かレクチャーや座談会、WSを重ね、再演に繋げていく第一回目のお知らせです。
尾道市の漁師町、吉和地区で終戦直後の物資が不足する時代、十代から二十歳の女性たちが中心となり活動した星劇団は、当時大人気でした。当時を知る方々の証言を元に、いろんなことを考え、話す場に出来ればと思います。興味を持たれた方、是非いらしてください。
詳細は以下にあります。

(以下、光明寺会館より)

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AIR Onomichi招聘アーティスト横谷奈歩さんのトークです。これまでのレジデンスでの星劇団に関するリサーチの成果発表とこれからの展開について紹介します。      
・・・・・・・・アーティストトーク AIR Onomichi ARTIST TALK・・・・・・・・・・
星劇団の再演プロジェクト
横谷 奈歩 (美術作家)
9/27木19:00~21:30
場所:光明寺會舘 Komyoji-kaikan
参加費無料、ワンドリンクオーダーお願いします。
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戦後、尾道商業高校は進駐軍の駐屯地となっており、校庭には空缶があちこちに散らばっていた。捨てられた缶の星の部分を切り取り、5つのうちの一つの角を折り曲げて、暗幕に引っ掛ける。
公演中に幕が揺れると、それはあたかも舞台上でたくさんの星がきらめく風景のようだった。
「星劇団」 ― 昭和21年、終戦直後のこと。自ら劇団を立ち上げた彼女たちは、第二次世界大戦と戦後をたくましく生きた女性であり、同時にどこにでもいる十代から二十歳前後の多感な少女であり、そして表現者だった。
終戦後から十年間、尾道市吉和地区にて活動していた星劇団。物資の不足した時代になぜ彼女たちは劇団を立ち上げたのか。「星劇団再演プロジェクト」第一回目は、2013年に星劇団団員の川原ヤエ子さんと美術作家・横谷奈歩との出会いから、アートプロジェクトとして星劇団の再演に動き出すまでの経緯とこれからの活動について、お話しします。
ゲスト略歴
横谷奈歩 
美術作家。1975年東京生まれ。2008年 東京芸術大学大学院 美術研究科 後期博士課程を修了後、文化庁新進芸術家海外研修制度にてヨーロッパに滞在。古代ローマ遺跡を初め、街や自然、博物館等のリサーチと制作活動をおこなう。以後、日本国内から世界各地へ足を運び、調査と取材を重ね、土地に隠された歴史やひそやかな事柄を残していくことを最も大切なテーマとしている。
光明寺會舘 
〒722-0033 広島県尾道市東土堂町2-1  
お問い合わせ Mail aironomichi@gmail.com.(亀井)
Tel / Fax 0848-51-5717








2018年8月21日火曜日

杉沢で過ごす夏、芸術と考古学2018

昨年に引き続き「芸術と考古学」のプロジェクトのため、滋賀県米原市、杉沢で過ごす夏。立命館大学の矢野先生と学生さんたちと一緒に、発掘現場にいます。日に日に発掘されるトレンチは深くなり、湧水が豊富な杉沢は、トレンチにも日々深い水溜まりが。無心になって土を掘らせてもらったり、実測させてもらったり、面白い道具もたくさん。
そして今日は杉沢の方々へのインタビュー映像撮影日、1時間1本勝負×4。米原市の教育長をされていた I さん、SLの機関士だった Fさん、骨董に精通し、たくさんの遺物コレクションを持つ Tさん、伊吹山文化資料館の Tさん、それぞれにとっても面白いお話を伺うことが出来ました。このインタビューの全容は、来年3月に予定されている芸術と考古学の展示にて、公開されます!










2018年8月1日水曜日

[複数形の世界のはじまりに]について


7月1日に東京都美術館で終了した企画[複数形の世界のはじまりに」につきまして、
2件のレビューが記載されました。
1つは月刊ギャラリー8月号の小倉正史さんのページにて、もう1つはアートスケープ8月1日号の村田真さんのレビュー欄にて、それぞれの読み取りを新鮮に感じながら、面白く拝読させていただきました!

[複数形の世界のはじまりに]は、その名の通り、はじまりを終え、次なる展開へと向けて動き出しています。あの集落は、それほど遠くないうちに、再びきっとこの世界のどこかに現れることでしょう・・・。


[複数形の世界のはじまりに] 
http://pluralworld.work

[アートスケープ8月1日号レビューより]
http://artscape.jp/report/review/10148101_1735.html



[月刊ギャラリー8月号より]