2023年3月10日金曜日

戦争遺跡の欠片

旅の話をもうひとつ。

旅先では、その土地に戦争遺跡があるかをいつもチェックしている。
今回は出雲まで足を延ばしたが、戦時中に 出雲大社前で松脂を採取していた跡が残っているとの情報を得た。これは、地元の写真家、高嶋敏展さんという方が写真展と本にしている。そして島根県立東部高等技術校のwebデザイン科の江角奈美さんという方が、卒業制作で制作したという以下のウェブサイトがわかりやすかった。

このサイトや実際の写真を見る前に現地に行ったので、松脂の採取跡がわからず観光協会の方に聞いたのだが、観光協会のすぐ目の前にもえぐられた傷を持つ松の木が。今までこの付近には何度も足を運びながら全く気がつかなかった。
当時、子どもや女性も含め、せっせと採取した松脂で、結局は飛行機を飛ばすことは出来なかったらしい。同時に私は先日、尾道のロダンでマスターから見せてもらったVディスクの話を思い出していた。
戦時中から戦後にかけて、米軍のパラシュートから前線や占領地の兵士にパラシュートから届けられていたレコードのことである。
「この時代に日本では竹槍の練習などしていたのだから、勝てるわけがないよね」というようなことをマスターは言っていた。
戦争体験者の言葉はいつも重い。 だから知らない世代の私たちは、あった「こと」の欠片を見つけて拾い上げていく。
この情報をすくい上げてくれた高嶋さんと江角さん、そしていつものロダンのマスターに感謝です。






妖怪たちに呼ばれて

ちょっとしたリサーチとリフレッシュを兼ねて、マイレージで日本海側へ。

免許を取ってから20年以上運転していないから、地方に行った時には公共交通機関を調べて使い倒す。これが時間の使い方と充実度を大きく左右する。
さて、米子空港。
私が行きたい境港方面に行くには電車もバスもなく、1時間ほど空港に足止めになりそう。それは避けたいと空港近隣の地図をみると、ありましたありました。回らないカウンターの、優しい板さん。頼んだのは地魚にぎりで、その場でタイミングを見て出してくれる。聞いたことない近くの魚や貝、白いけど赤貝とか、この幸福感で少なくとも5日間は生きていけるわ私。最近もがんばってるしね私。
市民の足、ローカルバスを乗りこなして次に向かうは境港の水木しげる美術館。たまたまリニューアル休館に入る最後の公開日が今日だった。
これは妖怪に呼ばれているとしか思えない。
かつて猫娘に似てるとよく言われたし。
水木しげると戦争体験の話は知っていたものの、その後の世界各地の冒険が、小さい頃からのエピソードや生と死の体験が、作品のヒューモアと表現に昇華され、熊楠好きに親近感を覚え、虫と話をして精霊の話や仮面コレクションに圧倒され、よいものを知った。鬼太郎だけじゃないんだ。水木作品は、これだけのものに裏付けられているのだ。
水木しげる先生ありがとう。
のんのんばあありがとう。
そして人生はつづく。