2021年12月14日火曜日

演劇公演「天と地のまなか」(12月12日)

昨晩の大広間の興奮さめやらぬまま、演劇を観るために早朝の尾道から広島へ。

今回の観劇、寅卯演劇部による「天と地のまなか」は、ある広島出身の作家について描いた物語で、私はこの原民喜という詩人のことも全く知らなかった。来年3月に再演を予定している星劇団の再演に出演予定の明日香さんが出ることで観たくなったのと、演劇について少し勉強するつもりもあって行ってみた。

帰りのフライトの時間を少し気にしながら見始めたのに、小気味良いテンポの場面展開やシンプルでよく考えられた舞台構成、この繊細な詩人にあっというまに感情移入してしまい、何度か涙腺崩壊しかけながら、気づいたら終盤に。
常に何処かで死が身近だったのに、あの日に広島の原子爆弾に遭遇し、その後に身を削って書き残す決心をした作家。
三年前の秋、祖母の弟の見舞いの際、北海道から少年兵として来た広島で被爆した話を聞いてから、今までは学習して理解しようと努めていた原爆の体験の話が、急に身近なものになってしまった。
生き残ってしまったものの苦悩。
過去と繋がる方法は模索しつつ少しずつやってきながらも、
私たちは、未来とも繋がれるのだろうか。
なんて考えながら慌ただしく空港へ。
良作でした。今夜も興奮さめやらぬ。

”自分のために生きるな、死んだ人たちの嘆きのためにだけ生きよ”







尾道のスクリーニングイベント「場景」

先週末の12/11土曜日、尾道で行われた素敵なイベント[場景]。

即興がキーワードになる映像やパフォーマンスが入り乱れる会。すべての体験は記録されて、来週(12/18,19)も会場で流れるそう。
まず、会場となった松翠園大広間の場の力がとにかくすごい。こんな場所を再生させる空き家再生プロジェクトすごい。私は初めて足を踏み入れましたが、ここまでとは、唖然。
そしてその場所に絡む、人や作品。だんだんと日が暮れゆくなかで、ゆっくり動いていく豊かな時間は、今回のために作られた手作りの巨大スクリーンや、温かく、すみずみまでおいしいご飯と会話からも作られていたでしょう。まさに場景。

東京から小山穂太郎さんと研究室の皆さんも来て、ディープで感動した夜でした。
あ、私も映像と降霊術?のような対話パフォーマンスしました。星劇団の予兆編です。















2021年11月14日日曜日

京都のヴォイスギャラリーで展示をしています


今回の展示は、フィールドワークから模型を制作し、撮影した写真作品(過去作品)と、星劇団再演プロジェクトの紹介です。展示はヴォイスギャラリーのディレクター松尾さんがやってくださったのですが、他者からの目線の展示で作者が気づかされることも多いなと思ったりします。松尾さんが深く理解と共感を寄せて紹介してくださることが、とてもありがたいです。尾道の吉和から、戦後を生きた女性たちの活動が静かに浸透していくようです。京都に行かれる方は、是非に。11月20日まで。

http://www.voicegallery.org/exhibition_event.php 

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2021年11月3日(金)~20日(土)13~19時
休廊日:11月8日(月)・9日(火)・15日(月)・16日(火)
Room A 横谷奈歩「その向こうにあるもの」 / Room B 唐仁原希「仔鹿がきたみち」

横谷奈歩「その向こうにあるもの」(展示室A)
横谷奈歩は、東京藝術大学において絵画制作の後、主に、インスタレーションやパフォーマンスを横断的に制作してきました。
同大大学院在籍の頃から、国内外の戦跡、史跡、遺跡などにおけるフィールドワークを重ね、各地で関わった人々との交流を通じて、特定の歴史や場所を多様な形で作品化しています。2008年同大学において博士号取得。

このたびの展示では、2013年から横谷が多くの関係者や協力者と協働し、聞き取りや研究を続けてきた「星劇団再演プロジェクト」(於・尾道市)のご紹介とともに、各地での自身の鋭い観察を机上の模型に再構成し、さらなる想像を加えながらそれらを撮影、史実との交感や芸術家としての再編成を試みた2007年~2017年の写真作品群を展示します。
タイトルの「その向こうにあるもの」とは、横谷が、時空を超えて耳を傾ける人々の声やざわめきを指しています。(ヴォイスギャラリー)



2021年10月22日金曜日

和作ウィークが来るっ

 113日から、尾道に和作ウィークがやってまいります。

高橋家は、主人であった高橋武氏が、第二次大戦時に朝鮮総督府の視学官として勤務し、終戦を経て帰国後に尾道市の教育長に迎えられ、家族と共に住んだ高台にある一軒家です。


尾道で滞在制作をすることになった2013年の夏、この家にどうしようもなく魅かれてしまった私は、高橋家の家族の物語や歴史を「高橋家にまつわる物語」として読み解きながら制作し、2013年から1年に1度公開してまいりました。今年は高橋家と交友が深かった画家、小林和作(1888-1974)の邸宅と、和作の親友であった医師、小野鐡之助邸と同時に公開します。尾道空き家再生プロジェクトが再生を手がけているこの二軒も素晴らしい邸宅です。


高橋家と合わせて三軒を巡ることで、当時の風景や文化的背景が浮かび上がり、尾道のこれまでとこれから、それぞれの物語が再生されることでしょう。

 

期間中はスケッチやツアー、トークイベントもあります。

詳細は、以下の尾道空き家再生プロジェクトのリンク先へどうぞ。

 

http://www.onomichisaisei.com/index.php?catid=10&itemid=446&fbclid=IwAR0gxTLZ40hWw6i4at7ANR589Mh9A44FXC5fNOPfNprRip8zSWyoeyPrClk





 

 

2021年10月20日水曜日

夏の神戸のプレゼンの講評が出ました

私のプロジェクトは長く継続するのが特徴の一つということもあり、最近ここらで一旦整理したり、自分の幅を広げるためにも、紀要に挑戦したり、公募企画のプレゼンテーションに参加してみたり、この夏はさまざまなチャレンジをしていた。

11月に星劇団の再演を控えていたから(来年3月に延期、詳細はまたおしらせします)、2021年は夏のほとんどの時期を尾道で過ごし、まるちゃんに助けられながら、これらの仕事を片付けていた。
神戸のプレゼンは、審査員が1名で、前から興味があった遠藤水城さんが今年の担当だったということもあって応募してみた。小倉さんもよーく私に、遠藤さんの名前を言ってたっけ。

書類審査を通過した8名がプレゼンに挑み、1名が採択されるという狭き門だったけど、やってみてよかった。最近は仕事で人の作品を見たり、講評する機会の方が増えていたけれど、やっぱりプレゼンには参加する側がたのしい!というのが今回の結論でした。
年月重ねれば、きっと自然にふてぶてしくなれるかも、よ(?)と若い学生さんにも言ってあげたい。
遠藤さんのコメント、大切にしながら今後も制作していきます。



尾道のまるちゃん。急に寒くなって大丈夫かな。心配だな。
どなたかおうちに迎えられる!という方がいたら連絡くださいな。






2021年9月6日月曜日

星劇団再演プロジェクト

 

舞台美術を作るチームが吉和の街の細部まで舞台上に再現すべく、あれやこれや頭を捻りながら、アイデアとテクニックを駆使してくる。脚本演出チームも想像を膨らませ、やりとりが止まらないなか脚本の完成も近づき、演者チームは個別グループで自主練しようとか、ピンクレディの振りを練習してみました!とか、勝手にたのしく動いてる。できるだけ口を出さないようにしながら私はその隙間をうろうろしてるだけだけど、それぞれが勝手に動いてるさまがとても心地よく、いいプロジェクトになってるなぁと、実は心の中で勝手にニヤニヤしてる。

 

昨年発行した星劇団の冊子に、みんながそれぞれ書いてくれた「わたしの星劇団」が、現実に動いているのを目の当たりにできるうれしさ。そしてこの裏で、会場となる小学校や大道具を置く倉庫など交渉してくれたり、いつも支えてくれる方々にも感謝。


















 

2021年7月30日金曜日

すばらしい展示を観た、2021年7月の終わりに。

 緊急事態宣言下の東京で、静かな、そしてすごい展示を観た。このまま終わってしまうにはあまりにも惜しいので、以下稚拙な表現ですが、ご紹介したいと思います(時系列順)。

 1つ目は東京都美術館の展覧会、イサムノグチはひらけた空間に作品が点在する絶妙な構成に身を委ねる気持ちよさがあり、特に最後の部屋にある晩年の彫刻群は、イギリスでよく巡っていたレイラインにある遺物を思い出した。でも、その後に観た企画「Walls&Bridges-壁は橋になる」は更に響いた。https://www.tobikan.jp/wallsbridges/





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人の作家の作品と人生譚なんだけど、まぁ丁寧に贅沢に作られた展覧会。作品はそれぞれに見ごたえあり、無駄のないテキストと一緒にじわじわと効いて来る。気持ちが充足感でいっぱいになって、その後勢いで焼肉を食べた(席にアクリル板ありの店)。

 

 そこから神楽坂のSprout-Curationで行われている「かんらん舎・ 大谷芳久の手探り」

へ。(https://sprout-curation.com/exhibitions/3636
思わず、なんだこれはと言いたくなる大谷さんの研究成果。銀座のかんらん舎があった頃から展示を観たり、作家としてアドバイスやお話を聞いたり、大谷さんの文章を読むばかりだったが、まさかここまでとは。手仕事の美しさと意味と覚悟。


気が遠くなるような時間をかけて、この果てしないお仕事をされていた大谷さんにも、これらを展示企画として私たちに観る機会を与えてくれて、会場には展示しきれないさまざまなお話をしてくださった企画の角田さんにも、心から感謝したい。8/8まで金土日のみあと5日間、お見逃しなく。

 これらの贅沢な文化的体験がコロナ禍でどんどん予算が削られて、機会が減らないようにと祈るばかり。特に紹介した後者二つの展示はあまり密にならない状況かと思うので、行ける方は是非とも体験することをおすすめいたします。


こんな時期ですが、こんな時期だからこそ、少しでいいから確実に、一見世間の表層から隠れている派手さはなくとも地に足のついた、いや、地の奥深くまで潜り込んでいるような大切な仕事で世界が構成されていたらいいなぁ・・・・・と期待を込めて。




2021年7月16日金曜日

神戸でプレゼンします

塩江で、ピピロッティリストの気分で壁を破ったり、がんがんフィジカルワークをしてた(のちに活動報告します!)と思ったら、来週末7/25は神戸のKAVCでプレゼンします。KAVCは昔から大好きな作家、グレゴールシュナイダーのプロジェクトに感動したのと、この公募形式が興味深かったこと、ちょうどコロナで各地のプロジェクトが延期になり、ちょっと時間を持て余していたのもあって、申請してみました。

アイドルのデビューのきっかけが、「引っ込み思案なので周りが心配してオーディションに応募してくれた」とかよくある話ですが、これは面白そうなコンペだと思って、正真正銘自分で応募しました(なんのこっちゃ)。


https://www.kavc.or.jp/events/7871/


プレゼンにはいつも自信がないけれど、よいプランができたのでがんばります。




2021年6月24日木曜日

思い出徒然

 八丁堀のヒノギャラリーで、是枝開さんの個展が開催されています。是枝さんは私の最初の個展時 (22年前?のキュレーターでしたが、今も大学の先生の仕事と共に、画業を並行して続けています。よい仕事でした。小雨の降るなか観に行ってよかった。私の最初の個展はセゾンアートプログラム「アートイング東京21x21 1999」の企画でした。思い出は尽きませんが、企画内最年少ゆえに悔しい思いもたくさんしたり、でもあの経験が制作においての私を骨太に育ててくれたような気がします。

最近武蔵美の食堂で冨井大裕さんが、アートイングに出した私の水平線の絵画を「あれも今に通じるフィールドワークの仕事だね」と覚えていてくれて、そんな見方をしてくださったのも、作品を覚えてくださっていたのも、めちゃくちゃうれしかったなぁ。恩師のひつだ先生は、私が学生の頃に冨井さんをよく講義のゲストで呼んでいらしたし、いい仕事をしている先輩たちの背中を見ながら、私もますます頑張らなと思います。

 

是枝さんの個展は26日まで。是非に。http://www.hinogallery.com/2021/2526/


私は明日から久しぶりの尾道です。





2021年5月14日金曜日

あらら、、

 もともと今月は、週末ごとに地方でのプロジェクトがあったのだけれど、感染者数の増加、とうとう広島と岡山にも緊急事態宣言が出て、明日からの尾道行きも中止。来週の塩江も延期になった。プロジェクト自体は中止ではなくすべて延期なので、落ち着いてからじっくりやりましょうという感じなのですが、この詰め込み過ぎの予定に対して急に空いてしまった時間。

ちょっとワーカホリック気味だったので、時間が空いてちょうどという気もしなくはないが、せっかくだから制作を進めたり、文章を書いたり、普段なかなかまとまった時間がないとなかなか出来ないことをしたいなあ。つい先日も、あるテーマの勉強で図書館でまとめて10冊本を借り、さらに古本も買い求めたところだったので(新幹線で読もうと実は意気込んでいたのだが・・)。

学生時代、急な休講でフリーになった時、友だちとお茶してだらだら過ごしちゃったけど(それはそれで楽しかった!)今回はピンチ(個人的にはそうでもないけど)はチャンス、急な予定変更もチャンスととらえて、しっかりやりますか。





2021年5月1日土曜日

トークイベント2021「小林和作を旧居で語る。旧居を語る。」 

 GWは、NPO法人空き家再生プロジェクトによるこのトークイベントに出ます。


「小林和作を旧居で語る。旧居を語る。」 

http://www.onomichisaisei.com/index.php?catid=10&itemid=434



2013年からAIR_Onomichiで「高橋家にまつわる物語」として、約40年空き家となっている高橋家に取り組んでいます。これも再生の形になるのか、自分としては再生というよりも、この家を通じた対話(高橋家に住んでいた方々や、高橋家と関わりがあった方々、あるいは関わりのなかった方々)をしてきたつもりでしたが、それがいつのまにか再生の一つの形になっていたのかなと思うと、なんだかとてもうれしいです。

そして高橋家の近くにあって、高橋家との関わりも近かった和作先生。2016年にラジオドラマを作った際も高橋玄洋先生の脚本で出演していただいたのに(和作先生役は、最後の弟子だった村上選氏。流石にすごくお上手でした)、和作邸には私は足を踏み入れたことがなかったのです。(管理の関係で、外観を何回か見に行っただけでした)。だからこの機会は本当にうれしいです。

このトークイベントの初回を、小野環さんと担当します。

PCR検査も受けて、万全の態勢で臨みます!


2021年4月19日月曜日

ピクニックとバードウォッチングと

 

今年は春を感じるお誘いが多くあって、たとえばバードウォッチング。

いただいた双眼鏡を下げてぽくぽく歩くと、鳥だけじゃなく草花も春です!

と大きな声で主張している。

共同の大きなお庭のある友人のおうちでは、色とりどりのこれから咲くお花や野菜、

さぼてんとか、空も広い。都内なのに。

こんなに気分のいい毎日も、あっというまに激しい日差しにとって代わられるのかしらねえ。















これはうちの丸い猫



              今日は雨が降りそうねぇ。



2021年3月19日金曜日

新しい春が来た

昨年末から新陳代謝が起きていたかのように、怒涛の日々だった。


昨日まで、冬を越えた尾道に滞在していた。
「高橋家にまつわる物語」は新しい展開を迎え、秋には星劇団の公演も控え、地域の資料館作りも始動した。視察で行ったある小学校内の資料館は、とても良かった。
いろんなリサーチが形になっていく喜び。

高松の塩江町でのプロジェクトは、私が最初に塩江に入り、塩江の方たちと初めて会ってから三年が経ち、先日から新しい制作がスタートしている。
今年の夏休みはほとんど西にいることになりそうだ。

新しい大学の仕事も増え、しばらくプロジェクトを中心に動いていたが、個人での作品制作と発表もして行きたい。
新しいウェブサイトもほぼ出来ているし、今後はフィールドノートを載せていく予定だ。ひそかに行っていた北海道や沖縄等の国内リサーチも今後更に展開したいし、海外に行けたらすぐにインドネシアとイタリアに行きたい。体力がもっと欲しい。欲張りなことです。


日常も仕事も、ものもことも人間関係も、新陳代謝が必要だ。
自分にとって不要だったり、重たくなったものは自然と離れる。
今年はたくさんの新しい展開に恵まれているぶん、常に新陳代謝を心がけよう。
フレッシュな状態を心がけよう。


新しい春が来た、きぼうの朝だ






2021年1月24日日曜日

新しい記録集たち

 

毎日がすごい勢いで進みますね。

久しぶりの休みなので、昨年末に制作した記録集(冊子)について。

コロナ禍で、星劇団再演プロジェクトの2冊目の記録集を昨年3月に出版したあと、続けて更に2冊制作しました。1冊目は星劇団プロジェクトの展開版で、かつての星劇団のメンバーのプロマイド写真を忠実に再現した写真からなる記録集で、もう1冊はインドネシアのジョグジャカルタで行なったプロジェクトで、日本の統治下に少年時代を過ごしたリカルドさんの証言と写真からなる本です。

内容充実(← 自画自賛)、非売品なので、興味ある方はご連絡ください。

明日は晴れるといいな。