2016年7月31日日曜日

花火だった

花火大会の日は、いつも大変だった。

しんくんは花火の大きな音に怯え、外に向かって吠え続け、抱っこしようがなだめようが、花火が終わるまで自宅の奥のお風呂場にこもり続けた。
私が15の時に家に来て、気高い王子様、あるいはアイドルのようなしんくんが、歳をとってぼけたり、弱って来てからは、より愛しくてたまらなかった。


チイはその後、事情があってうちに来た。
先住者のしんのことが大好きで、迷惑そうにするしんくんを追いかけ回し、散歩に出ればハトを追いかけ回し、道ばたのものを何でも食べようとする、近所でも評判のおてんば娘だった。しんくんは後から来たこの娘を追うことはしなかったが、散歩に出るといつも心配そうな目でちゃんとついて来ているか、振り返って確認してた。

チイは私と気が合って、私が自室で仕事していると必ず呼びに来るし、早朝に部屋に来ては一緒のベッドで眠った。しんくんが19年目で亡くなったとき、チイがいてくれたから、ペットロスにならなかった。

チイは花火のことなんてへっちゃらで、大きな音がしようが平気でごはん食べたり、いつものようにうろうろしてた。
チイも15年生きて、5月に亡くなった。
病気一つせず、急に弱ってからはぽっくりと。

私のその場所は、いまだにぽっかりと穴があいたままだ。





2016年7月3日日曜日

旅から戻って


少しだけ、長い旅から昨夜東京に帰りました。

6月頭に、名古屋のひつだ先生を訪ねてから、尾道で小倉さんのトークを聴き、そのまま山口の秋吉台のレジデンスに入って滞在制作。秋吉台国際芸術村では、素晴らしいスタッフさんたちに支えられ、毎日5時起きの修道女のような規則正しい生活のなか、集中して制作することができました。
その間にも、元秋吉台科学博物館長の動物学者さんによる、マニアックな秋吉台や秋芳洞見学や、プロ写真家さんによる蛍鑑賞、隠れキリシタンのいた乙女峠などに連れ出していただき、かつて一緒に仕事した、今は美しいママのジュンコさんが会いに来てくれたり、懐かしい芸大の先輩にも会えて、星劇団のプロジェクトの件では山口大学の先生方にもとてもお世話になりました。

滞在最終日に10代からの長い友人が迎えにきてくれて、博多で別の友人親子と合流。
博多では、よりたくましくなったブルキナ繋がりの友人と2年ぶりの再会。
深夜の船で五島に渡り、ゾクゾクするような美しい教会が在る無人島、野崎島に渡ることが出来て、前に一人で訪れた時には怖くて奥まで入れなかったキリシタン洞窟には、それまでの嵐が嘘のように奇跡的な晴天が訪れ、予約していた船が出港でき、船長にも再会できたし、他にも中世の古墓群などを再訪。

いつも旅はほとんど一人なのですが、今回は同行してくれた友人たちのおかげでリサーチ場所を俯瞰して見れたり、怖くて入れなかったところも奥の方までどんな構造だったかをじっくり確認することができました。またオプションとして(?)名前も知らない魚や、うんざりするほど大きなサザエを食べきれないほど買ってみたり、浴衣を着て花火したり、イノシシ除けの歌を唄ったり、一緒に旅する楽しさを知りました。

濃過ぎる1ヶ月、たくさんの出会いと一緒の時間を共有してくれた方たちに、とっても感謝です。


今日からまた東京で、リ・スタート。
木曜には、やり残した仕事のために山口リターンズですが。。