2023年4月1日土曜日

キョンキョンを、聴きに行った

 

キョンキョンを、聴きに行った。
と言っても、いつも私が行く落語のキョンキョンではない。本家(?)の方である。

私が初めて多磨全生園と国立ハンセン病資料館を訪れたのは、学部の学生時代のことで、近年は全国を対象としながら細々とリサーチを続けていた。そんな中、今回の国立ハンセン病資料館の企画展に合わせて、小泉今日子さんの朗読があることを知った。かつて、読売新聞の書評の彼女のことばを私は毎週楽しみにしていた(そしたら担当学芸員の木村哲也さんも、今回小泉さんを呼んだきっかけの一つがあの書評だったって。木村さんグッジョブです)。

また、文化庁の海外研修から戻って、仕事もなく、どのようにこれからの未来を生きたらよいか戸惑う私に、当時ハマってたドラマ「最後から二番目の恋」の小泉さん演じる"チアキ"は、理想となる40代女性を提示してくれた。ミーハーというなかれ。彼女が演じなければこのドラマのチアキは成立しなかった。強くてしなやかで、たっぷりしてきれいだったから(ちなみに相手役の中井貴一も素敵だったの)。

そう、私は表現者としての、小泉さんに興味があったのだ。 


さて朗読会。
始まりのトークでは、担当の木村さんと軽い対談があった。ハンセン病のことをこれまで深く知らなかったと話す小泉さん。なんとなく緊張してみえたのは気のせいか。これがあの、スターダストメモリーを歌ってたキョンキョンなのか?

 

話の中で、大学生になってからの木村さんが、今回の展示の核となった詩人の大江満雄氏の本の復刊のために鶴見俊輔と奔走したエピソードが紹介された。そして、戦争やハンセン病の体験者など、直接話を聞いた世代も減る中で、今を生きる私たちはどう歴史を繋ぐのかという話になった。

ほんとそうなんですよ、とうなづく(このテーマは、先月滞在した沖縄の話も合わせて書きたくなるが、長くなるからそれはまたの機会に)。


小泉さんの朗読は、大げさでなく、ひたすら謙虚で誠実にみえた。

大事な話を同じ空間で共有したような。

帰り道は、おうちにたくさんの宿題があるのに、また新しい宿題を抱えてしまった小学生の気分だった。なんでだか。



*展覧会情報はこちら* ハンセン病文学の新生面 『いのちの芽』の詩人たち

5/7まで


https://www.nhdm.jp/events/list/4942/